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【マンション売却】には権利書は必須? もし紛失した場合の対処法は?

この記事をザックリいうと

マンションの売却をするときには、「権利書」が必要になってきます。

それだけ大切な書類ではありますが、

「権利書を失くすと、マンションの所有権も無くなる!」

・・・そのような間違った認識を持っている方もいるのではないでしょうか?

「権利書」が紛失しても「所有権」は決してなくなりません。


また、正確には、「権利書」(ケンリショ)ではなく、「権利証」(ケンリショウ)という名称になります。


本記事では、「権利証」の持つ意味合いや、

マンションの売却と権利証の関係』『紛失の際の対処方法』など、

多くの人が持っている「権利証」にまつわる疑問を

わかりやすく説明していきます。


この記事の対象者

『そもそも権利証はどのようなもの?』

『マンション売却に権利証はどうしても必要なの?』

『権利証が紛失したらどうすればいいの?』

 ・・・という疑問をお持ちの方、

この先、マンションの売却をする可能性のある方が対象の記事となっています。


世田谷をはじめ東京都内でマンションを所有している方にも、予備知識の一つとして読んでいただける内容になっています。

  

【目次】

1.   そもそも『権利証』とは?

2.   なぜマンション売却には『権利証』が必要なのか?

3.   『権利証』を紛失したときの対処法

4.   『権利証』の悪用防止対策


 そもそも『権利証』とは?


テレビのサスペンスドラマなどにしばしば登場する「権利証」。

豪邸の「権利証」を無理やり手に入れようと争うシーンが繰り広げられるわけですが、実際には「権利証」を取られたとしても「所有権」が無くなってしまうわけではありません。

災害時に、命を懸けて権利証を守ることはしなくても大丈夫なのです。


では、「権利証」の持つ意味や役割とはどのようなものなのか、具体的にご説明していきましょう。


『権利証』は『登記』が完了した証明書にすぎない

権利証とは、マンションや戸建てなどの不動産を取得したときに、所有者に交付される書類です。

「持ち主が私になりました」という、申請を法務局に提出し、いわゆる「所有権移転登記」と呼ばれる手続きをおこないます。

このときに、申請書と申請書の副本(コピー)を提出します。

後日登記が完了すると、提出していた申請書の1冊に「登記済」という大きな赤い印が押されたものが返還されてきます。

これが俗にいう「権利証」です。正式名称は「登記済証」といわれるものです。

表紙に「登記権利証書」などの表記がされていることも多く、迷ってしまいますが、赤い「登記済」の印が押してあるもの・・・と、覚えてください。


『権利証』(登記済証)は『登記識別情報通知書』に変わった

さて、世間一般に浸透しているのは「権利証」という名前ですが、今は権利証に代わって、「登記識別情報通知書」という名称の書類になっています。

2005年3月に「新不動産登記法」が施行された後、従来の「権利証」(登記済証)は廃止され、オンラインでシステム化された法務局から順次、「登記識別情報制度」に切り替えられて行きました。現在では日本全国の法務局のオンライン化が完了し、権利証は完全に廃止されました。


「登記識別情報」とは、登記手続きをする際のパスワードのようなもので、数字とアルファベットなどを組み合わせた12ケタの文字情報です。

登記の手続きが終わると、「登記識別情報通知書」が法務局から届きます。

用紙に12ケタの文字が記載され、目隠しシールが貼られて文字を隠しています。

この12ケタの文字情報を提示すると、法務局のオンラインシステムで不動産や所有者の情報を確認できる仕組みになっています。


これが以前の権利証に代わる重要な書類になるので、紛失しないようにマンション購入時の契約書ファイルなどと一緒に保管しておくことをおすすめします。


さらに、「登記識別情報通知書」のほかに、登記が終わったことを通知する「登記完了証」とよばれる書類が交付されます。

しかし、従来の「権利証」(登記済証)の代わりになる書類ではありません。



現在は「登記識別情報」へ切り替えが完了していますが、切り替え前に発行されていた権利証(登記済証)の効力が無くなったわけではありません。

「登記が完了している証明書」として、先々まで変わることなく重要な書類です。今後も引き続き大切に保管してください。


なぜマンション売却には『権利証』が必要なのか?

「権利証」は、不動産を売却する際には無くてはならない書類といわれています。それはなぜなのでしょうか?


理由①『所有者』であることの確認のため

不動産業者に売却を依頼する際、業者によっては「所有者本人である確認」をする方法の1つとして、権利証(登記済証)や登記識別情報通知書の提示を促す場合もあります。


理由②『所有権移転登記』に必要なため

マンションの売却をするときには、「所有者が変わった」ことを知らせる「所有権移転登記」をおこないます。

依頼した司法書士が法務局に必要書類を持ち込み申請の手続きをします。

以下が必要書類一式になります。


・権利証(確認済証)または登記識別情報通知書

・委任状(司法書士は所有者の代理で手続きをするため委任状が必要になります)

・印鑑証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)

・固定資産税評価証明書

・住民票(現住所と登記上の住所が異なる場合)


『権利証』を紛失した時の対処法

昔は「権利証」を財産として、金庫で厳重保管をしている家も多かったようです。それほど大切に扱われていた書類なのです。

権利証(登記済証・登記識別情報通知書)は、「火事などで焼けてしまった」「災害で紛失してしまった」という場合でも再発行はされませんので、慎重に保管していたのもわかります。

「権利証」を無くしてもマンションの所有権を失うわけではありませんが、マンションの売却時には必須の書類です。

売却前に、「権利証」が見当たらない!などという場合は、権利証に代わる書類を用意することが必要です。

以下の3つの方法で対処が可能ですが、手間と時間は必要になるので早めに手続きをおこないましょう。


対処法① 「資格者代理人」に本人確認をしてもらう

権利書が紛失して手元にない状態で、マンションの売却・所有権移転登記の申請をするには、「本人確認情報の提供制度」という方法をとることができますます。

法的な資格を持つ司法書士が「資格代理人」として、所有者の本人確認をおこないます。基本的には「登記を申請する司法書士」が本人確認をしなければなりません


司法書士が権利書を失くした理由や経緯、マンションを取得した経緯をヒアリングして、マンション購入時の売買契約書や領収書などを基に調査をします。

その上で「本人確認情報」として文書を作成し、法務局へ提出します。

司法書士の権限と責任によって証明をおこなうため、「本人確認情報」の作成料は5~10万円が相場となっており、決して安い金額ではありません。

しかし時間的には登記の手続きが早く進められるため、権利証の紛失の場合には最もよく使われる方法になります。


対処法② 公証人に本人確認をしてもらう

この方法も法的な資格を持つ「公証人」に、所有者本人である事を証明してもらう方法です。

公証役場にマンションの所有者本人が直接出向き、公証人と面談の上、公証人の前で登記申請の委任状に署名をします。


公証人が「間違いなくマンションの所有者本人である」と確認できたら、「本人確認認証」という書類を作成します。

登記の申請の際に、「権利証」の代わりに「本人確認認証」を添付して提出します。

公証人による「本人確認制度」の費用は数千円程度と、かなり安価に手続きが可能です。

公証人に本人確認をしてもらうには、公証役場が開いている平日に行く必要があります。


対処法③ 法務局の『事前通知制度』を利用する

事前通知制度」は所有権の移転登記の申請をする際に、本来は添付が必要な「権利証」を添付せずに申請書類の提出をおこないます

提出から数日後に、法務局の登記官から本人限定受取郵便で「事前通知」が送られます。


「事前通知に基づく申出書」に所有者本人の直筆で署名をし、実印で捺印をしたものを2週間以内に法務局に提出すれば、法務局で「間違いなく本人の意思による登記申請である」と認められ、登記の申請が完了します。


万が一、2週間以内に提出が出来ない場合は、登記の申請は却下されてしまいますので、期限には気をつけなければなりません。

事前通知制度の利用は、費用は特にかかりません。


『権利証』の悪用防止対策

万が一、大切に保管していたはずの権利証が紛失した場合、知らない人の手に渡って悪用されるのではないか?などと、心配になることでしょう。

移動中に電車の中で失くした、盗難された可能性があるなど、家の外に流出した可能性が高い場合に、悪用されるリスクを減らすためにとっておくべき手段をお伝えしましょう。


否定登記防止要求の申告

法務局に「否定登記防止要求の申告書」を提出します

すると法務局側で、「申告から3ヶ月間は不動産の名義変更を受けない」体制になるので安心です。

キャッシュカードやクレジットカードを紛失した場合に、銀行やカード会社に連絡してカードの利用を止める手続きをするのと同様の方法です。


もし、申告後に登記申請をしようとした者がいれば、犯罪の可能性を調査され、調査内容も報告が来ます。

また「登記識別情報」の場合は、12ケタの文字番号を無効にする「取消申請」手続きも可能です。

「否定登記防止要求の申告」も「登記識別番号取消し」も費用はかかりません。


悪用されるリスクはそれほど高くない

現実的には、権利証の悪用をする=所有者以外が勝手に登記をするという行為は非常に難しいと考えられます。

所有権の移転登記には、権利証だけではなく「印鑑証明書」や「実印」も必要になります。司法書士も所有者本人であるかどうか、しっかりと確認します。


最悪のケースで、不正に登記されてしまった場合には裁判をおこない、登記が無効である事を証明し、所有権の移転登記を抹消することは可能になります。

権利証と実印は同じ場所に置かないように保管しておくことも大切です。






小野田コーイチ

小野田コーイチ

岡山県出身。青山学院大中退。 不動産業界に約30年。売買仲介、賃貸仲介に幅広く精通。 仲介だけでなく物件の買取、相続不動産案件、リフォーム提案、投資案件まで対応可能なマルチ・プレイヤー。 自身の不動産会社を経営した経験もあり、その知見は一般的な不動産営業マンと一線を画す。 2012年よりわくわく不動産の『専属不動産エージェント』として業界に新たな風を吹き込んでいる

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